蔵の背後に連なる西山連山は、標高は300メートル程ですが稜線からは長岡平野と日本海が見渡せます。豊かな緑ときれいな水に恵まれ、麓の脇野町地区では江戸時代頃より醸造業が盛んとなりました。
「想天坊」の仕込み水は、口に含むとほのかに甘さを感じる西山連山の伏流水を、敷地内の井戸から汲み上げて使用しています。
「想天坊」の仕込みに使われる原料米は希少米「高嶺錦」を主体に、地元長岡みしまの水田で収穫される酒米を使用しています。
「高嶺錦」は新潟に吟醸造りには欠かせない米として盛んに用いられ、新潟の高度な酒造技術の確立に大いに貢献しました。昭和40年代には作付面積ベスト3に入っていましたが、「亀の尾」の孫に当たる古い品種のため、科学農法に対応した新品種の普及により徐々に姿を消し、今ではその良さを知る一部の蔵で使われるのみとなりました。当蔵の場合「高嶺錦」と、蔵が伝承する「越後流」の酒造技術、蔵の仕込み水との相性が良く、ふくらみがありきれいな米の甘みがしっかりと感じられる「淡麗旨口」の味わいとなります。
現在はJAS認定有機無農薬のあいがも農法による「高嶺錦」の栽培や、新潟の新品種の酒米「越淡麗」の栽培にも着手し、米へのこだわりをさらに深めて行きたいと考えています。